校長室

心のコップ

弁護士の平尾潔さんは,中学校の出前授業で以下のようなことを語っています。「人の心はコップに満たした水と同じなんです。このくらいでは死なないと思って,キモいと言ったとします。でも,相手の心がいっぱいだったら,最後の一滴になるんですよ。」
 GWのまっただ中,高萩市の中学校で悲惨な事案が発生してしまいました。子をもつ親として,また子を預かる教師として,ご両親の気持ちを考えると,胸が張り裂けそうな思いです。今はただ,ご冥福をお祈りするばかりです。
 事件の原因等は,第三者委員会の結果を待つしかありませんが,マスコミ報道のように部活動顧問の暴言が主因だとすれば,当該中学生にとって,その暴言が,まさに最後の一滴になってしまったのだと思います。私たち大人は,様々な方面にアンテナを張り巡らし,子供たちの心のコップの状態を察知する必要があると思います。そして,さらにアンテナの精度を高め,二度と最後の一滴がしたたり落ちることのないように寄り添うことが,私たち大人の責務と考えます。
                                                                       結城市立結城南中学校長 黒田 光浩